外乱に頑強かつ低コストに導入可能な産業支援システムの創成

概要:

加速化する少子高齢化による人口減少に伴い,多くの産業で人的資源不足の問題を抱えています.その一方で,消費者の嗜好は多様化し「更により良いもの」をとその欲求は留まることを知りません.そこで本研究室では,あらゆる産業の品質管理で最も重要とされる視覚情報に着目し,カメラでセンシングされる画像情報へひと手間加えることでいつでも・どこでも・だれでも使えるような産業支援システムの創成を目指し,研究開発をしています.

消費者ニーズの多様化に伴い,高品質な多品種少量生産の需要も高まっています.多品種少量生産では,オーダーに応じて生産ラインを変更する必要があります.近年発展目覚ましいAIを用いたとしても,外乱の影響を受けずにインタラクティブに製品の外観検査は困難でした.本研究では,位置ずれに頑強なHLAC特徴量を用いて高速にインタラクティブに形状などの空間的な異常を検出できる外観検査システムを開発しました.

多品種少量生産のフレキシブルな製造工程においては,類似した色をもつ製品を分類する工程も高効率に生産するためには非常に重要な工程です.マルチスペクトルカメラやハイパースペクトルカメラなどの高性能なセンサの台頭で課題解決が図られてきましたが高コストである課題が残されていました.本研究では,一般的なRGBカラーカメラと多色照明を用いて高性能センサと同等の情報抽出技術を開発し,分類精度においては最新の画像分類AIを上回る性能を発揮することを実験的に証明しました.

農業の生産現場では,新しい人的資源の確保が急務となっています.本研究では,イチゴの収穫現場への参入を容易化するために画像の色情報を外乱光へ頑強な色空間であるHSV色空間へ変換し,面積や熟度の計算を行う作業支援スマートフォンアプリの開発を行いました.写真に提示している開発アプリでは作業者へ現在の熟度や面積さらには作業者自身が希望する熟度までの予測到達時間をリアルタイムでフィードバックができます.

農業の生産現場では,収穫後にサイズ,形状,色味などの特徴に紐づけられた等級ごとに振り分けたのち販売しなければなりません.佐賀県のイチゴ農業ではパック詰め作業の基準が農家毎に異なり,最終的な判断を下すパッケージングセンターと相違がみられるといった課題がありました.この課題を解決するために本研究では画像AIを用いて,イチゴの等級を分類しイチゴ農家単位での均質な基準となる小型パッケージング支援技術の基礎システムを開発しました.写真ではイチゴの推定重量・熟度・サイズがフィードバックされています.

活動紹介:

  • 学生が作成したDEMO動画(1, 2, 3

関連する業績:

関連する外部予算プロジェクト:

国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)
研究種目:最適展開支援プログラム(A-STEP)トライアウト JPMJTM20H5
研究期間:2020〜2021
研究課題名:エッジコンピューティングに基づくプラスチック成形部品のAI画像検査システムの開発
研究代表者:福田 修
佐賀県TSUNAGIプロジェクト Saga TSUNAGI Project
研究種目:佐賀県TSUNAGIプロジェクト Saga TSUNAGI Project
研究期間:2022年〜
研究課題名:スマートグラス等を活用した“いちごさん”の熟練したパック詰め技術の再現